巷では、というか学校業界では、かなり流行りつつあるアクティブラーニング。
アクティブラーニングとは…
学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る学修(能動的学修)
私の勤務する私立高校ではそれほど学校全体でアクティブラーニングを推進しようという機運はありませんが、県立高校の先生方はかなり管理職からの猛プッシュがあるみたいです。
文科省の通達たるや恐るべし…。
しかしながら、文科省の通達であろうと、欧米諸国の真似であろうと、「アクティブラーニング」という授業の在り方は、非常に素晴らしいものだと思います。
興味をもって能動的に学ぶこと、そして互いに議論したり教え合ったり行動を伴いながら学ぶことは、生徒たちの学習や成長にとって大きなプラスになるはずです。
ただ、何をもってアクティブラーニングとするのか。
そこが私自身もまだまだ曖昧なところです。
そんなアクティブラーニングに手探り状態な先生も多い中、県内の生物の先生方を中心に、
「PBL合宿をしてみよう!!」
という企画が持ち上がりました。
「PBL」とは、「Project Based Learning」の略で、何か一つの物事を集団で作り上げる経験(Project)を通して学びを深めようという学習方法です。
今回は、そんなPBLを県内の生物部の生徒たちを集めて、1泊2日の合宿という形でやってみようという企画です。
具体的には、以下の7つのテーマから1つを選び、選んだテーマごとにグループをつくってディスカッションを行い、みんなで出し合った意見をまとめ、発表を行います。
① 不老不死を可能にするには?
② ヒトの受精卵への遺伝子操作は認められるべきか?
③ 本当に環境に配慮したエネルギーとは?
④ 日本の調査捕鯨は必要か?
⑤ 生物多様性は本当に維持しなくてはならないのか?
⑥ ヒト絶滅後の地球や生物はどうなるのか?
⑦ 地球外生命体の可能性を探るー生命に必要な“もの”や“環境”はどんなもの?
各テーマとも、簡単には答えの出ない(正解のない)テーマのため、最初は生徒たちも戸惑うと思いますが、ぜひとも白熱した議論をして、少しでも成長する機会になってくれればといいなと思っています。
うちの生物部からも8名の生徒が参加するので、一回りでも二回りでも成長してくれることを期待しています。(切実)
今回の企画は、昨年度まで県内のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校が開催していたサイエンスセミナー合宿という合宿の在り方を理想形としてスタートしました。
以前、そのサイエンスセミナー合宿に視察に行かせていただいたことがあったのですが、生徒たちの知識と議論がものすごいんです。ほんとに。
例えば、
「ポケモンは生物か?」というテーマに対して、すべてのポケモンの生態を事細かに調べ、生物の定義と厳密に照らし合わせていく生徒がいたり、
「地球以外の星に住むためにはどうしたらいいか?」というテーマに対して、エネルギーの確保や様々な惑星への到達年数などについて大学生顔負けのレポートをびっしりと書き上げてくる生徒がいたり。
そして、グループで議論しながら意見をまとめていくわけですが、発表の準備も同時に進めていかなくてはならず、グループ全員で本当に夜を徹して議論していくわけです。
別々の学校から参加し、今日初めて知り合った人たちと、ずっと膝をつき合わせて議論する。
いつも教室内ではあまり喋る方ではない生徒が、自分の調べてきた内容を一生懸命に発表する。
そんな、学校ではできない非日常的な経験、でも大学生になれば日常的になるであろう経験を、高校生のうちにすることができる。
その素晴らしさを感じた合宿がサイエンスセミナー合宿でした。
今回のPBL合宿は、そのサイエンスセミナー合宿を受け継ぐものであり、教員として参加する私たちも、意義のあるものにすべく責任の重さを感じています。
そして、私自身も、PBL合宿を通して「アクティブラーニングとは何なのか」を改めて考えてみたいと思っています。
福岡県内の先生方、各学校へ公文書が送られていると思いますので、ぜひご参加ください!!(ここで言ってもですが…)
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。まだまだPBL合宿も準備半ばですが、こういった合宿が全国的に広がると科学研究の裾野も広がるのかなと勝手に思っています!!