生物の先生になるためのBlog

現役の生物教員による、生物の先生になるためのブログ。日々、自問自答です。

【教員採用試験】生物の先生になるためには(大学編)

高校の生物の先生になるには、大きく分けて、

1.一般大学の理学部・農学部に行く

2.教員養成大学・学部の理科教育コースに行く

という2つの道があります。

 

1.一般大学の理学部・農学部に行く

私は、国立大学の理学部に進学しました。

「生物の先生になるには理学部の生物学科でしょ!」と思い、生物学科を受験(超単純な進路選択)したものの、結果は第2志望にしていた地球惑星科学科に行くことに…。

 

「地球惑星科学科では生物の先生になれないのでは…?」

そう心配していた入学当時の私ですが、心配は無用でした。

 

なぜなら、生物の先生になろうと、物理の先生になろうと、

教員免許は、「一種免許状(理科)」として理科ひとまとめで取得することができるからです。

 

こうして、地球惑星科学科のカリキュラムのかたわらで、教職課程をとり、無事に一種免許状(理科)を取得することができました。

 

ただ、先生になるためには、

免許を取得する + 採用試験に合格する

というプロセスが必要です。

 

免許は理科ひとまとめで取れますが、

採用試験では、物理・化学・生物・地学などに分かれて採用が行われます。

つまり、生物の先生になるためには、採用試験ではそれなりの生物の知識や専門性が求められてくるわけです。

 

地球惑星科学科に進学してよかったと今は心から思っていますが、地球惑星科学科の中でなんとか生物系の研究室に入って研究をし、生物学科や農学部の講義も聴講するなど、けっこう生物の知識や専門性をつけるという点では苦労しました。

(いまだに専門性があるなんて胸を張って言えません…日々勉強です…。)

 

2.教員養成大学・学部の理科教育コースに行く

私の勤務する高校では、物・化・生の3分野に分かれて計12名の理科教員がいます。

そのうち、一般大学出身の先生が8名、教員養成大学・学部出身の先生が4名です。

*ここでは、教員養成大学・学部とは、広島大学や横浜国立大学などの教育学部、各都道府県の教育大学を指しています。

 

教員養成大学・学部の場合は、受験時や入学後にコース選択があるので、生物の先生になるためには理科教育コースなどへ進学します。

理科教育コースのカリキュラムの中に理科教育法など教職課程に該当する科目が設けられているため、多くの場合カリキュラムを一通り受講していけば一種免許状(理科)を取得することができます。

 

3.一般大学と教員養成大学・学部の違い

これはよく生徒から質問されるので、私見ですがまとめておこうと思います。

 

【一般大学】

メリット

・高校の先生になるのであれば専門性が求められるため、研究などを通して高い専門性を得ることができる(はず)。

・実際に研究を行うことを通して、科学研究のプロセスを体感し、学問・研究への尊敬の念が芽生える(どこの大学でも言えることですが)。

デメリット

・カリキュラムの中には教職科目がないため、学科の授業とは別に教職科目を取らなければならない。(かなりの単位数を外付けで取得するものの、卒業単位としては認められないことが多い。)

・教育方法については、学科の授業だけではほとんど学ぶことができない。教職科目に理科教育法などがあるものの、質・量ともに教育学部に比べれば乏しい。

 

【教員養成大学・学部】

メリット

・カリキュラムの中でコースに応じた教員免許が取得できる。(教職課程として外付けで単位を取らなくてもいい。)

・所定の単位を修得すれば、他の教科の教員免許も取得できる。

・授業の組み立てや見せ方、実験など、教育方法について深く学ぶことができる。

デメリット 

・教育方法の研究などに重きを置いている場合が多く、理科の専門性という点ではやや乏しい。

 

実際に、同僚の先生方を見ていると、

・一般大学出身の先生方は、板書中心の授業で詳細な項目まで扱い(特に自分の専門分野はかなり細かい)、学問色の濃い説明をする

・教員養成大学・学部出身の先生方は、物理の演示や化学の実験などを多く行い、授業での見せ方がうまい

という(だいぶ誇張しましたが)違いがあるように思います。

 

4.大学院に行くべきか

結論として…

大学院には行くべきです!

 

私自身が、大学院(修士課程)まで行ったからそう思うということもありますが、 

現実的に、教員採用試験でも大学院卒の採用者は増加傾向にあります。

これは、現在、理系学部の多くの学生が大学院に進学すること、そして高い専門性をもった教員を採用する側も求めていることが関係していると思います。

 

また、大学院進学前や在学中に採用試験に合格した場合には、大学院卒業まで採用を延期してくれる都道府県も増えてきています。

f:id:darie1228:20160213064235p:plain大学院在学者・進学者に対する特例(文科省)

 

そして、なにより学部だけでは、1年ほどしか卒業研究の期間がないため、研究らしい研究はできません。

 大学院に行って、2年間(博士後期課程までいけば5年間)研究して、発表して、挫折したりすることも、先生になるためには大切な経験だったと思います。

 

あと、大学院に行くと、教員免許が「専修免許状(理科)」に切り替わるため、若干ですが給与体系も変わってきます。(最後の最後にお金の話…)

 

長くなりすぎたので、教員採用試験の内容等についてはまた後日まとめてみようと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ぜひ、生物の先生になってください!!